2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

文学の楽しみに身をまかせる

去年の生誕祭の少し前、夫の友人から工芸茶を頂いた。工芸茶というと人間の手が加えられた高度な芸術品というイメージが先行するが、Flower teaである。紐で括られ丸く縮こまっていた草花がゆっくりと開き、湯のあいだをしばらく揺蕩う。おそらく最も美しい…

本を読むことは、諦めることから始めなければならない、とはまだ言いたくない

一月十九日は、私の誕生日だった。本厄から後厄に移り、母から念を押して「まだ厄年なので」と注意を受けて早々、体調を崩してしまった。これが後厄の洗礼なのかしら、と気が沈んでいたが、いまは回復し、机上の薔薇を眺めている。窓を全開にすると海風が薔…

海と机上を定点観測

渡泰八年八ヶ月。ようやく自分だけの机と椅子ができた。 目の前には穏やかな海が拡がっている。近くに大きな港があって、部屋の窓の正面はちょうど入港を待つコンテナ船やバルク船の溜まり場になっている。クレーンの首を右に左に据えた大型のコンテナ船はそ…

2022年に読んだもの

2023年は七日が去った。年末年始は引っ越しで忙しかったので、ようやく2022年の読書を振り返る。年始に届いたお気に入りの緑の机のうえに、去年読んだものを読み終わった順に左から並べて写真を撮ってみた。 ドストエフスキー『罪と罰』 ドストエフスキー『…